石垣市長の尖閣海域視察は、問題なし!
隠密はあたりまえ、問題にする方がおかしい
市長の尖閣海域調査が極秘に行われたことに野党革新陣営は抗議の声をあげ、マスコミもたたいています。
しかし、今回の「海洋調査」を事前に公表していたら、どうなったでしょうか。野党は「中国を刺激する」と騒ぎ、マスコミは中国当局に「御注進」、中国当局が騒げば、日本政府は関係機関に働きかけ「中止」させることは目に見えています。
難しい政治情勢がある中で「調査する」ことが目的なら、水面下で準備し、秘匿にしておくのは当然のこと。そもそも自国の領海を調査するのに公表しなければならない義務はありません。日本領海では、様々な海洋調査が行われていますが、いちいち事前に公開されているでしょうか。
「選挙前のパフォーマンス」はいいがかり
海洋調査は、戦没者の慰霊などとともに長年の願いでした。実施時期は、石垣市の意向で簡単に決まるものではありません。政府の黙認、海保の了解は最低限必要です。一度や二度の働きかけで政府が黙認することはなく、長い年月が必要でした。おりしも国連が提唱する「SDGs」が注目されてきている中、「豊かな海をまもろう」を根拠に粘り強く働きかけ、漸く実現したのです。東海大学の海洋調査船の日程や調査員の確保、天候等、様々な諸準備があり、すぐに決まるものではありません。これはあくまで推察ですが、政府の黙認に、オリンピック期間中の実施なら中国があまり騒ぐことはないという読みもあったかもしれません。とにかく諸般の事情で、たまたまあの日程になったのです。現職の市長は公務に縛られ、選挙活動に割く時間は限られています。選挙のことを考えれば、むしろマイナスだったでしょう。尖閣海域の海洋調査をしたからといって、コアな保守層には快挙でも、一体選挙に際しどれだけのプラスになるでしょう。
「中国を刺激するな」は、中国の思うツボ
今回の海洋調査に際し石垣市に抗議文を送付した野党革新陣営。革新政党は、中国の海洋調査にどれだけ抗議の声をあげてきたでしょう。中国大使館に抗議に行ったということも聞きません。わが国固有の領土を、中国は「中国のもの」と偽り、法を無視して「力による現状変更」を推し進め、領土強奪の布石を着々とうってきています。わが国に重大な脅威を与え、刺激して憚らないのは中国で、その中国を「刺激してはいけない」とは、中国の行為を容認し、手助けしているようなものです。この10年、何も「刺激してはいけない」として、政府は石垣島への上陸調査も、慰霊祭も認めてこなかったのですが、それで中国は手を引いたのでしょうか。結果は逆でした。年々、中国海警局警備艦艇のわが国接続水域での滞在時間、領海侵犯回数は増える一方です。
既に中国に奪われたガス田
東シナ海において、日本と中国の排他的経済水域、大陸棚の解釈から境界が確定していない中、暫定的な日中境界線の海底に豊富なガス田が埋蔵されていることが明らかになり、共同開発等の話し合いがもたれてきましたが、問題が解決しないうちに、中国は境界線の中国側とは言え、ガス田からガスを採取するための海上プラント基地(櫓)を構築してしまいました。海底のガス田は境界線に関係なく地下は繋がっていますので、日本側にあるガスも中国が吸い上げることになるため、たびたび日本政府は中国に抗議してきました。しかし、中国は聞く耳を持たず、今や16基も構築し、一方的にガスが奪われ続けています。
ですから、抗議だけではダメで、なんらかの行動が大事です。尖閣諸島も、領海侵犯を繰り返す中国に抗議だけしていても問題は解決しません。日本側の実効支配を実のあるものしていくための着実な積み重ねが大事ではないでしょうか。
尖閣が中国のものになったら、たちまち軍事要塞化され、次は石垣が狙われる
尖閣諸島を守る必要があるのか、中国にくれてやればいい、と極端なことをいう方がいますが、自衛隊OBなどいろいろな安全保障専門家の意見を総合すると、尖閣諸島が中国に占領されたら、南シナ海などで奪った島にたちまち軍事施設を構築したように、尖閣諸島も軍事要塞化されます。そうなれば、台湾侵攻や石垣、宮古を奪う、前進基地にされてしまうでしょう。中国は、沖縄は日本ではなく「琉球」で、中国の支配下にあったとしている国です。その領土的野心を起こさせないためにも、尖閣諸島の実効支配を進化させることは必要なのだと思います。海洋調査にお金がいくらかかったというような問題とは別次元の問題です。